Es wartet alles auf dich BWV187
2011.08.07 | baroque |
J.S.Bach: Cantatas Vol.45
Bach Collegium Japan
(BIS: BIS-SACD-1801)
三位一体節後第7主日のエピソードは「4千人に食べ物を与える」。集めたパン7つを小さく裂いて4千人の群集に分け与えると、皆が腹を満たし、残ったくずを集めると7籠分になったという話。いいな。3月は、避難してきた人たちにパンを配って手元に何も残らず、食べ物を探して街中をさまよったり、道端の炊き出しに助けられたり、いろいろなことがあった。
この主日のためのカンタータ第187番「皆あなたを待ち望む」では、そのパンが食べ物として、ときに抽象化しためぐみとして登場する。全7曲約20分というサイズは決して大きくはないけど堂々の2部構成でしかもシンメトリー。第1部は詩篇第104番が、第2部はマタイによる福音書第6章のテクストをベースとして、そこから抽象への旅が始まる。
多くの曲がミサト短調BWV235に転用されただけに、妙にツルリとした音型の連続に惹かれる。流麗なラインが何度も描かれる。冒頭合唱などは、テクストがドイツ語であることを忘れる瞬間が何度もある。野々下、ブレイズ、コーイはそれぞれBCJの常連だけど、この組み合わせはどうだっただろう。すこしヨレ気味なときもあるコーイを含めて、皆格調が高い。
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