Music for the Court of Maximilian II / Cinquecento
Music for the Court of Maximilian II
Cinquecento
(hyperion: CDA67579)
独墺方面に注目すべき声楽グループがまたひとつ。2004年に結成された男声6人組のチンクエチェントは、出身地こそ墺白英独瑞と広範だけど、ウィーンに拠点を置き、ウィーンの教会（Church of St Rochus and Sebastian）のレジデンス･アンサンブルとしてハプスブルク宮廷を中心とした16世紀の無名のポリフォニーに取り組む。当然、独墺の声楽グループに認定である。
耳元に引き寄せて聴くとバランスや声質の不安定さが露呈するグループが結構あるけど、チンクエチェントはかなり安定感のあるアンサンブルを展開する。テリー･ウェイとヤコブ・フップマンの2人のカウンターテナーはわずかに力みのとれたデイヴィッド・ジェイムズといったところで、風通しはいまいちながら輝かしさは十分、テナーのトーマス・キュイーネとトーレ・トム・デニスの軽味は好みだ。ファートのモテットとアントニウス・ガッリのミサという開拓者精神溢れるプログラムで、ガッリという未知の音楽家の作品に触れることができたのは収穫。というわけで、彼らの演奏は耳元でコンスタントに鳴り響いている。
録音はまだ始まったばかりだが、彼らのコンサート･プログラムやレジデンス･アンサンブルとしての活動はかなり魅力的だ。デ･モンテやファートのミサを週替わりで演奏するというラインナップにちょっと興奮。録音してくれたら全部買う！のだが。
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