Liebster Gott, wenn werd ich sterben? BWV8
J.S.Bach: Mit Fried und Freud
Collegium Vocale Gent
(harmonia mundi: HMC901659)
三位一体節後第16主日のためのカンタータ第8番「最愛なる神よ、私はいつ死ぬのか」は、カスパール・ノイマンという人が書いたコラールに基づくコラール・カンタータ。このコラールが、すこしもいかついたところがなく瑞々しい。
コラール・カンタータならこの瑞々しさが最後まで持続するはず。そんな期待が一気に高まる。16世紀前半のパロディ・ミサの、美しいキリエを耳にしたときの高揚感に似ている。
死の喜びを歌う曲が並ぶバッハのこの主日のためのカンタータの中で、第8番は死に対する静かな不安から始まる。その不安は、曲が進行するにつれて解決されることになるのだけど、その解決の過程に寄り沿うように、オーボエ・ダモーレの色彩が変化していく。
この楽器は本当に魅力的だ。チェロの音色は人間の声に近いというけど、オーボエ・ダモーレは人間の感情に近いと思う。オレの気持ちがわかるのはオマエだけ、みたいな。
ヘレウェーへの指揮の下、オーボエ・ダモーレ氏はすこしだけネットリと仕上げている。彼の演奏がロマンティックと言われるようになって久しいけど、それは言葉が足りなくないか、と思っている。
Deborah York (S)
Ingeborg Danz (A)
Mark Padmore (T)
Peter Kooy (B)
1. Coro: Liebster Gott, wenn werd ich sterben?
2. Aria (T): Was willst du dich, mein Geist, entsetzen
3. Recitativo (A): Zwar fühlt mein schwaches Herz
4. Aria (B): Doch weichet, ihr tollen, vergeblichen Sorgen!
5. Recitativo (S): Behalte nur, o Welt, das Meine!
6. Choral: Herrscher über Tod und Leben
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