Signals from Heaven

Er rufet seinen Schafen mit Namen BWV175

J.S.Bach: Cantatas Vol.39
Bach Collegium Japan
(BIS: BIS-SACD-1641)

聖霊降臨祭第3日のためのカンタータ第175番は、牧歌的な3本のリコーダーに導かれて始まる。福音書のよい羊飼いとしてのイエスが現れる。よい羊飼いは羊のために命を捨てる。

よい羊飼いを慕う心情を歌うレツィタティーフとアリアが終わってリコーダーが聞こえなくなると、よい羊飼いの姿も見えなくなって、拭うことのできない不安が聴き手を襲う。第4曲のアリアで登場するヴィオロンチェロ・ピッコロにその不安を引き受ける。BCJの全集にはバディアロフの名前がクレジットされているが、あの肩掛けタイプのヴィオロンチェロ・ピッコロ・ダ・スパッラという楽器で演奏されているのだろうか。いずれにしても、ここでこの楽器が1本入ることに大きな意味がある。BWV173aの第7曲のパロディだという。

この第4曲でよい羊飼いのエピソードは終了し、第5曲からは第2部となる。主の言葉を疑い、盲目の理性を尊び愚かな理性を批判する。第6曲の2本のトランペットを伴うアリアは、確実に他の作品で聴いている曲のはずなのだが、何だったか思い出せないでいる。この点はバッハ事典も明言はせず、「旧作のパロディである可能性が高い」という説明にとどまっている。終曲のコラールが第59番のカンタータのコラールの転用であることなどどうでもよくなってしまった。しばらくはあのトランペットのフレーズが頭を駆けずり回るだろう。

Robin Blaze (A)
Gerd Türk (T)
Peter Kooy (B)

1. Recitativo (T): Er rufet seinen Schafen mit Namen
2. Aria (A): Komm, leite mich, es sehnet sich
3. Recitativo (T): Wo find ich dich?
4. Aria (T): Es dünket mich, ich seh dich kommen
5. Recitativo (A,B): Sie vernahmen aber nicht
6. Aria (B): Öffnet euch, ihr beiden Ohren
7. Choral: Nun, werter Geist, ich folg dir

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