Dietrich Fischer-Dieskau – The Great EMI Recordings
2012.11.06 | classic+ |
The Great EMI Recordings
Dietrich Fischer-Dieskau
(EMI: 50999 4 56352 2 9)
あの知らせを聞いてから、マーラーのリュッケルト歌曲集の音源を探したら、バレンボイムとの78年録音に行きついた。オーケストラの伴奏が基本だけど、ピアノ伴奏版を聴きたかった。
立派で分析的で格調高い声。彼ならあらゆる困難も最終的には克服できるのだろう。その向こうで、バレンボイムが弾くピアノは、ときにドビュッシーのようにみずみずしく、ときに晩年のブラームスみたいに何もかもわかっていると言っているような風で、ピアノ1台なのに、オーケストラのように、耳の中で衰えることなく音がつながっていく。Ich Bin Der Welt Abhanden Gekommen(この世に忘れられて)からUm Mitternacht(真夜中に)へ向かう高揚感の中でも、どこかひっそりと違う場所を見つめているようなところがあって、そういうところに共感を寄せてもいいかと思ってしまう。
このCDの演奏を聴くきっかけになったのはYouTubeだった。彼の多くの音源をYouTubeで聴くことができる。すこしよい音質を求めてCDを手に入れた。11CDで1800円は破格。たぶんリリース情報はチェックしている。でも響かなかった。きっかけとはそういうもので、音楽はそんな風に回っていく。
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