Manchicourt: Missa Cuidez vous que Dieu nous faille
Pierre de Manchicourt: Missa Cuidez vous que Dieu nous faille
The Brabant Ensemble, Stephen Rice (dir.)
(hyperion: CDA67604)
ブラバント･アンサンブルのマンシクール。フランドル出身で、スペインに渡ってフェリペ2世の宮廷の礼拝堂でカピラ･フラメンカのボスに収まった。ちなみにカピラ･フラメンカとはこの礼拝堂に置かれたフランドル組とスペイン・ローカル組の2つの聖歌隊のうちのフランドル組の名称。某オンライン百科事典は、彼を「オケゲム・ジョスカン・ゴンベールの3人のスタイルでモテットを作曲した稀有な存在」と紹介しているけど、うーん、そうか。定旋律使いから通模倣、そしてくどい通模倣と作風が転換した例はありそうな気がするんだけど。
このＣＤで演奏されるミサとモテットは、くどい通模倣の部類だろうか。メインはジャン･リシャフォールのシャンソンが元ネタのミサ。元ネタとミサの組み合わせにモテット数曲を散らすのはこの10年で一般的になったプログラミング・テクで、標本臭を消す。ブラバント・アンサンブルは、クレキヨンのときもそうだったけど、元ネタをシャンソンとしてではなく元ネタとして演奏する方針らしい。シャンソンとミサのスタイルにほとんど差がなく、テクスト抜きで聴くと微妙。この演奏を聴いてかつてのザ･シックスティーンを思い出した。個々の声が前を向いていて自己主張の強さを感じる。このプログラムを演奏するのにプラスに作用しているかどうかは、まだわからない。
tag: The Brabant Ensemble
prev: Orlando di Lasso: Prophetiæ Sibyllarum / De Labyrintho
next: Tomás Luis de Victoria: Motecta 1572