Pierre Certon: Missa Ave Sanctissima Maria

2014.05.27 | renaissance |

Pierre Certon: Missa Ave Sanctissima Maria
Ensemble Vox Cantoris
(Psalmus: PSAL011)

ピエール・セルトンか。オムニバス・プログラムの雑踏の中で彼を見かけたような気がする。そうか、ロランド・ドゥ・ラッシュのプログラムか。でも、よく思い出せないな。目立たない存在だったからね、彼は。

とりあえず、ウィキペディアで情報を拾ってみる。生年は不明ながら、1530年に「ノートルダム大聖堂で球技を行なったかどで不敬罪に問われ、あやうく投獄されかけたが、分別ざかりでないとの理由で許され」ていることから、1510年代の生まれと推測されている。この事件の6年後の1536年にはサント=シャペルの聖歌隊長に就任して、1572年に亡くなるまでずっと隊長だったというから、若気の至りは傷にはならなかったらしい。

目立ない存在だと思っていても、当時のパリでは目立っていたらしい。隊長稼業のほかに、数々のイベントにシャンソンを提供していたとか。セルミジの友人で、1562年の彼の死に際しては、オケゲムの死を悼む挽歌をモデルに哀歌を書いたというのは気になる話だ。

今回のプログラムは、彼のミサ・アヴェ・サンクティッシマ・マリアを元ネタのモテットや聖歌と組み合わせたものだ。聖歌を挿むことによってプログラムの標本的な側面がきれいに隠れた。アンサンブル・ヴォックス・カントーリスは、個々の歌い手が各々の個性でしっかりした線を描く。和食が口の中で最終的に調理される料理であるように、聴き手の耳の中で最終的に調和する音楽。ゴリッとした低音は、もしかすると当時のパリ好みなのかも。

Certon: Ave Sanctissima Maria a3
Anon: Introïtus. Suscepimus
Certon: Missa Ave Sanctissima Maria. Kyrie a4
Certon: Missa Ave Sanctissima Maria. Gloria a4
Anon: Alleluia. Adorabo
Anon: Sequencia
Certon: Missa Ave Sanctissima Maria. Credo a4
Anon: Offertoire. Diffusa est
Anon: Dialogue de la Préface
Certon: Missa Ave Sanctissima Maria. Sanctus a4
Certon: Elévation. O Salutaris Hostia a4
Certon: Missa Ave Sanctissima Maria. Agnus Dei a4-5
Anon: Communion (Responsum)
Anon: Ite Missa Est

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