Machaut: Songs from the Le voir dit

2014.01.28 | medieval |

Machaut: Songs from the Le voir dit
The Orlando Consort
(hyperion: CDA67727)

老境に入ったマショーは、ペロンヌという19歳の女の子とのプラトニックな恋を「真実の物語」(Le Voir Dit)という物語詩のかたちにまとめた。女の子との手紙のやりとりあり、抒情詩あり、という多彩な内容でしかもかなり長大らしい。

プラトニックとはいえ、何となくスキャンダラスな雰囲気が漂うこの物語詩は、「真実の」とは言うもののフィクションであり、その真実らしさにマショーの筆の冴えがあるという。古いフランス語に歯が立たない自分にはハードルが高い。

「真実の物語」の曲がいくつかの異なるジャンルに分類されるのは、詩のかたちの違いによるものだ。バラード、ロンドー、レ。そういえば、日本サッカー界には「ラーラー」と歌う「ラの歌」があったな。

演奏はオルランド・コンソート。いつの間にかハイペリオンに移籍していた。いつの間にかと言えば、ロバート・ハリー＝ジョーンズとチャールズ・ダニエルズの2人がいなくなって、新しい人たちが加入している。上の2つのパートのメンバーが交代するとさすがに様子が変わるかと思ったらそうでもなかった。強いて言えば、声の軽さのようなものがすこしだけ他の何かに置き換わった。

1曲だけあるレが長大である。「希望のレ」という20分強の曲を1人で歌うのは古参組のアンガス・スミスだ。「真実の物語」のどういう文脈に置かれる曲なのかはこれから調べよう。朗々とした歌い始めから、徐々に熱を帯びて語り芸らしい説得力が溢れてくる。「レーレー」とは歌わない。

Ballade. Plourés dames
Rondeau. Dame, se vous n’avez aperceü
Ballade. Ne que on porroit
Rondeau. Sans cuer dolens
Lay de bonne esperance. Longuement me sui tenus
Rondeau. Dis et sept, cinq
Rondeau. Puis qu’en oubli
Ballade. Quant Theseus / Ne quier veoir
Ballade. Se pour ce muir

The Orlando Consort:
Matthew Venner (C-T)
Mark Dobell, Angus Smith (T)
Donald Greig (Br)

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