Music from Magdalen – The Magdalen Collection
The Sixteen / Harry Christophers (clerk 1973-1977)
(CORO: COR16049)
16世紀のイングランドにおいて教会音楽の拠点だったというオックスフォード・モードレン・コレッジに遺された音楽によるプログラムということで、ジョン･シェパード、ジョン・メイソン、リチャード・デイヴィーの3人の音楽家の作品を集めている。まず、ハリー･クリストファーの名前の後ろについている”clerk 1973-1977″に注目。ここではモードレン・コレッジに成人男声聖歌隊員として在籍していた経歴が指揮者の肩書きよりも重要なのだ。メンバー表を見ると（もちろん今回は皆男性）、アルトからベースまですべてこの経歴が記載されている。アルトのロビン・ブレイズとベースのウィリアム・ロビンソンは少年聖歌隊員でもあったため、その経歴もあわせて記載されている。メンバーだけでなく校訂者デイヴィッド・ウルスタンや今回の録音のプロデューサーからブックレットの翻訳者まで、何らかのかたちでコレッジに関わりがある人たちらしい。というわけで、作品を書いた3人を含めて異様に同窓会的な雰囲気が漂う。録音年は1997年。まっさらの新譜と思っていたけど、もしかするとプライベート盤に近い形で世に出ていた音源かもしれない。
結構好きなシェパードのモテットが半分以上を占めるプログラムよりも、このグループにしては珍しいオール男声のアンサンブルの旺盛な歌いぶりに関心が傾く。サウンド的にはヒリヤードに近いけど、この時期のヒリヤードに既に感じていたような停滞感とはまったく無縁で、フレッシュな声が音楽を前へ前へと進めていく。最近聴いていた男声グループは大陸系ばかりだったので、イギリスの男声グループに特有の力みが妙に懐かしかった。
chant – Magnificat antiphon: Inclita sancte
John Sheppard: Magnificat a4
John Sheppard: O happy Dames
John Mason: Vae nobis miseris
John Sheppard: Laudem dicite Deo
Richard Davy: Joan is sick and ill at ease
John Sheppard: In manus tuas I
John Sheppard: In manus tuas II
John Sheppard: In manus tuas III
John Sheppard: Spiritus sanctus I
chant – Magnificat antiphon: In diebus illis
Richard Davy: Ah, mine heart, remember thee well
John Mason: Quales sumus
The Sixteen
Harry Christophers (dir., clerk 1973-1977)